PC制御 メカニカル カメラレリーズ 自作 (PCでカメラのシャッターボタンを押す)

SONY NEX-5で天体写真を撮る時、BULB撮影を確実に行うため必要になって自作したものです。

NEX-5のリモート操作は赤外線リモコンでシャッターが切れますが、BULB設定の時は、赤外線リモコンのシャッターボタンを1回押すと露光が開始され、次に押すと露光が終わります。天体撮影でこの操作をPCで自動的に繰り返していると、時々カメラが反応せず、BULBの露光時間と次露光までの短い待ち時間が逆になり、BULBしたい時間で長く休止し、短い待ち時間で露光する事がかなりの頻度でありました。カメラが反応しないこの現象が偶数回発生するとまた設定したBULB時間で撮影がきるといった具合です。

こんなことを無くし、正しくBULB露光するために、PC制御でカメラのシャッターボタンを押す機構を、なるべく売っている物を買ってくるだけで作れないか試しましたが、レリーズケーブルの指で押す部分をマイクロサーボの回転を利用して押し、回転角度をPCから制御する方法が良いようです。動作は下の動画のような感じです。

バルブ装置動画表紙.png

PCのPowerShellスクリプトでシリアルポートから信号発生器にコマンドを出し、矩形波のデューティーサイクルを変更してサーボの回転角度を変えます。信号発生機のPWM信号が50Hz(周期20ms)の場合、デューティサイクル(DC)と角度の関係はだいたい下記のようになっていました。

DC(%) 角度( °)
12     0
11     19
10     38
9       57
8       76
7       95

角度は軸を下画像のように取った場合です。

IMG_4066 2.jpg

動画のPowerShellスクリプトでは、シャッターボタンを押す時 DC = 8、シャッターボタンを押さない時 DC = 9 のコマンドを信号発生器に送っています。PowerShellスクリプトは以下のとおりです。

#周波数を手動で50Hzに設定してください。デューティを手動で設定して、シャッター離す位置にしてください。
#NEX-5は、シャッタースピード:BULB、長時間ノイズリダクション:OFFに設定してください。
 
#USBシリアルモジュールのCOMポート(自分の環境に合わせる)
$UsbCS = "COM9"
 
#BULB秒数
$Exp = 60
 
#Bulb回数
$Bulb = 10
 
 
#シャッター離す文字列定義D009 デューティサイクル9%(自分の環境に合わせる)
[Byte[]] $requestR = 0x44,0x30,0x30,0x39
 
#シャッター押す文字列定義D008 デューティサイクル8%(自分の環境に合わせる)
[Byte[]] $requestP = 0x44,0x30,0x30,0x38
 
#COMポートのインスタンス生成 ($UsbCS、9600bps、パリティ無し)
$Comp = New-Object System.IO.Ports.SerialPort $UsbCS, 9600, ([System.IO.Ports.Parity]::None)
 
 
#COMポート開
$Comp.Open()
 
#シャッター離す文字列を送る
$Comp.Write($requestR, 0, $requestR.Count)
 
#1秒待つ
Start-Sleep -s 1
 
$i = 1
do{
  #シャッター押す文字列を送る
  $Comp.Write($requestP, 0, $requestP.Count)
 
  $now = Get-Date -format "yyyy/MM/dd HH:mm:ss"
  Write-Host $now," Bulb #",$i," Exp",$Exp,"(s)"
 
  #露光
  Start-Sleep -s $Exp
 
  #シャッター離す文字列を送る
  $Comp.Write($requestR, 0, $requestR.Count)
 
  #1秒待つ
  Start-Sleep -s 1
 
  $i++
}while($i -le $Bulb)
 
#COMポート閉
$Comp.Close()

材料
・カメラケーブルレリーズブラケット
・カメラケーブルレリーズ
・マイクロサーボ SG90
信号発生器 PWMパルス周波数1Hz~150Khz デューティサイクル調整可能
USBシリアル変換モジュール
・その他 5V電源、ケーブル類、固定用金属板など

カメラにケーブルレリーズを固定する治具は今回は自作しましたが、VixenのケーブルレリーズブラケットIIなどを使えばより汎用性がありそうです。ケーブルレリーズの指で押す側とマイクロサーボはありあわせに板に固定しました。SG90マイクロサーボは、駆動する50Hzの矩形波のデューティーサイクルを変えることによって軸の回転角度が変わります。シリアルポートからのコマンド操作の他に、ボタンでの手動操作も出来ます。

回路図

bulb名称未設定.jpg

NEX-5はオークションなどで数千円で入手でき、IRフィルターの除去方法もネットで紹介されており、BULB撮影時の長時間ノイズリダクションをOFFにして連続撮影ができたりと、お金を掛けずに長時間露光の天体撮影を始めるには良い機種だと思いますが、BULB撮影のリモコンシャッター操作に難があったので何とかしようと自作しました。

*このような自作は自己責任で行ってください。

[追記1]電気的接点のON/OFFでレリーズ操作する場合はこちらです。

[追記2]信号発生器をArduinoで作る記事はこちらです。

[追記3]サーボモーターで直接シャッターを押す機構の場合はこちらです。

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